北海道美瑛町にある「哲学の木」が土地の持ち主の手によって切られてしまったと、ついこの間ニュースで報道されていた。

このニュースには少なからず衝撃を受けた。何せ去年の夏に北海道へ旅行に行き、この「哲学の木」を見てきたばかりだったから。

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まさか去年出逢ったばかりのこの木が、もう二度と見れなくなるなんてね。
去年決断しておいてよかったと思う反面、ちょっとした寂しさや空しさも込み上げてくる。

土地の持ち主によると、度重なるマナーの悪い外国人観光客によって無断で土地内に侵入され、農作業に支障が出て我慢の限界に達していたとの事らしい。

これだけ聞くと、

 

また中国人かっ!

 

と言いたくなる所だが、実際それだけの問題でも無さそうだ。確かに中国人は嫌いだが。

 

先にUPした上の写真の手前に白い紐がかかっているのが見えると思う。

これは何かというと、実際にはその紐の手前の看板にはこんな文字が書かれてあった。

 

無断進入禁止

撮影禁止

 

実際、この看板を無視して写真を撮ってんだから、俺も人の事言えた義理じゃないのかもね。勿論敷地内に侵入はしていないが。

 

 

実は自分は去年北海道へ行くまで、この「哲学の木」の存在すら知らなかった。

たまたま旅行行く前にブックオフで買った北海道ガイドが2005年版の古いやつだったから記事に載ってただけで、実際には最近の観光ガイドにはこの「哲学の木」は載っていないらしい。

その証拠に、このガイドマップを頼りに美瑛町に行ったけど、どこにも哲学の木の「て」の文字もない。

場所はこのへんで間違いない筈なのに一向に看板も何もなく、しびれをきらして近くの食堂のおばちゃんに場所を聞いたら、おばちゃんはとっても気まずそうな顔をして旦那さんを呼びに行き、出てきた旦那さんはぶっきらぼうに「あっちの方」みたいな言い方で教えるだけ。

お陰でこの木を見つけるまでに、近くに着いてから2時間くらいかかってしまった。

今思うと地元の人もきっとこの哲学の木の持ち主が観光客に迷惑しているのを知ってるから教えたくなかったんだろうね。そりゃそうだ。どうせ旅行気分で浮かれてやって来てバカ笑いしながらカメラのシャッター切って帰るだけのバカみたいな奴ら(言い方!)の事より、同じ地元の自然を守って暮らしてる仲間を大事に思うのは当たり前であり、常識的な事。

 

でも本当にこの美瑛町のこの木のある場所というのは素敵な場所だった。

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何というか、ベタな言い方だけど、時間が止まったような田園、丘陵地帯で、息を飲むような自然の美しさは、思わず通る人の足を止め、通る車のスピードを緩めさせる、そんな素敵な場所。

「哲学の木」は無くなったけど、この美瑛町は好きだし、次にまた北海道へ行ったら必ず寄りたいと思う場所だった。

でもこういうニュースを聞くと、観光客ってのは地元の人にとって所詮はただの迷惑で邪魔な存在でしかないのかなと、そんな事をふと考えてしまった。

そりゃあ観光客相手に商売してる人とか、あるいはしようと考えてる人なら別だけど、そういう人ばかりじゃないからね。

勿論、一部の外国人(もちろん日本人にも変なのは一杯いるが)のようなあんなマナーの悪い観光客ではないと思ってるし、観光地でゴミなんて捨てた事ないし、金だってそれなりにちゃんと落とすし、でもやっぱり旅行だからいい写真は撮りたいし、そのためにちょっと無茶してしまうその気持ちも全く分からないわけではないし。

もっと色々考えていかないといけないなと思った。

そしてそれはこれからの日本のためにも必要な事なんじゃないかと。