「サラ、これだけは覚えておいたほうがいい。

 

どんな計画でも、ないよりはましなんだ」

 

 

私がこの本を読んで今でも覚えているのは、本書85頁で語られている、著者マイケル・E・ガーバーのこのセリフのみ。

そしてこの言葉こそが、彼が起業を志す全ての人に伝えたかった最も大切な言葉なんだろうと、自分は(勝手に)そう理解している。

 

マイケル・ガーバーは本書の5章、「誰もが経験する成長の壁」の中で、自分の計画を紙に書き出すことの重要性を説く。

「紙に何も書いていなければ、せっかくの計画も存在しないのと同じ事だ」

そう、それはよく分かる。「夢は紙に書き出せ」なんていう言葉は今時の成功した起業家からもよく聞く言葉。

実際、ワタミの社長なんかも同じような事言っているし。

だからこの、「夢や計画を紙に書き出す」という言葉は、今時の少し向上心に溢れた人なら、誰でも当たり前のように知っている言葉なのかも知れない。

実際に自分も1年に数十冊は自己啓発系の本を買って読むが、突き詰めると大体が似たようなことを言っている。オリジナルの発信元が誰なのかは別の話として。

 

だから今更、冒頭で書いたマイケル・E・ガーバーの言葉を引用しても、そんなに驚く人や感銘を受ける人っていうのは、少ないんじゃないかな。

「ああ、知ってる知ってる。紙に書くと違うんだよね」的な。

 

だけど、この「はじめの一歩を踏み出そう―成功する人たちの起業術 」は読んでいて明らかに普通の成功法則について書かれている本とは違った。

だからこうして紹介しようと思ったわけで。

本書は、「パイを焼く」という、自分がもっとも得意で、もっとも好きな分野で起業したはずなのに、色んなことで挫折し失敗し、今やパイを焼くことさえすっかり嫌になってしまったサラがマイケルの所に相談に来るシーンから始まる。

「起業なんてするんじゃなかった」

そう後悔しているサラに、マイケルは「職人としてではなく、起業家として成長していくこと」の大事さを説く。

そして冒頭の、

 

「サラ、これだけは覚えておいたほうがいい。

どんな計画でも、ないよりはましなんだ」

 

という言葉をサラに送る。

ここまでの流れが本当にすごい。

 

計画を立てなければ、改善すらできない。

これは何も起業だけじゃなく、人生においても言える事。

「計画を立てなさい。立てた方が立てないよりもずっといいから」

そう言われてもきっとやらなかっただろうな。今まで通り。

 

この、「はじめの一歩を踏み出そう―成功する人たちの起業術 」は、世界20カ国で翻訳され、100万冊以上売れた本(らしい)

機会があってもなくても、起業を目指していてもいなくても、一度読んで欲しい、そんな本。