正直、黒壁スクエアには長居するつもりはなかったし、それ程の期待もしていなかった。
レトロな商店街というのも今時珍しくも何ともないし、適当に一通り歩いたら切り上げてさっさと彦根城散策に向かおうと、当初はそう思ってこの街に足を運んだ。
だが自分のその考えは浅はかだったとすぐに思い知らされた。
それくらいこの黒壁スクエアは奥深く、魅力のある街だった。
まず、この街が面白いのは、小奇麗なレトロ風建物がひしめく一方で、くすり屋や音楽教室、洋服屋など、地元の生活に密着した店もまた所々にあるという事。
つまり、完全に観光地化しているわけじゃないってこと。
この辺りは少し歩いているとすぐに分かる。
この刀傘なんかも滋賀の観光地ではよく見かけるが、注目すべきはその売り値。
例えば高速のサービスエリアなんかだと同じものが2500円程度で売られているのが、ここだと1620円。この値段を見ても、ただ観光客からぼったくろうとしているだけのチンケな街じゃないことが良く分かる。
この写真なんかはその極め付け。
地元のおじいちゃんとおばあちゃんが桜を眺めながらぼーっとしている風景。
この街にはこんな風景が至る所で見れる。
あと、何て言うんだろうな、鎌倉のような、どこか上から目線の観光地とは一線を画している。
例えば、これを見て欲しい。
分かるかな。
さわらないでください! じゃない。
さわらないでくださいネ!! なんだよ。こういう所、ほんといいなあと思う。
この黒壁スクエア、今でこそ年間300万人が訪れる湖北随一の観光スポットらしいが、
こうなるまでに随分と苦労したんじゃないのかな。
高々人口10万人程度の街がここまで魅力的な商店街を作り上げたんだからね。
そういう、地元の人達の努力とか、この街に対する想いみたいなものも歩いてると伝わって来る気がする。
ただ、一つだけ難点を挙げるとすると、それはズバリ「食」
この黒壁スクエアでは何を名物としているんだろうか。そんな事を思ってしまった。
そりゃあ近江牛とか、素敵な洋食屋とか、結構いいお店は揃ってる。
でもぶっちゃけ、近江牛は滋賀県の観光地ならどこでも食べれる。洋食屋にしてもそう。
この街に来て、これを食べてってっていう、そういう物は無いのかなと。
それがちょっと伝わってこなかったのが残念な所。
ただ、地元の人は近くの餃子屋さんで飯食ったりしてたし、あくまで地元の人も使う商店街ってことで、それは単なるたまにしか来ない観光客の我がままって奴なのかも知れないね。
ちなみにこの街のコンセプトは、「ガラス工芸」や「オルゴール」といった「工芸」の街。
こういう、ブレないコンセプトを持ってるかどうかっていうのも、観光地としては大切な所だよね。
何て言うか、人も鎌倉や川越みたいにゴチャゴチャしてないし、何よりこの街の全体的な雰囲気っていうのかな、地元の人達含めたこの街の空気がとても新鮮な街だった。
しかしこういう所って、ホント行ってみないと分からないものだよね。
ネットが普及して本当に便利な世の中になったけど、やっぱり大事な所は自分で足を運んでみないと分からない。
そんな事を思った今回の長浜散歩だった。
因みに、黒壁スクエアのHPはとてもよく出来ている。
特にMAPと駐車場の説明なんか見事だね。
これだけしっかりしたHPを持ってる商店街って少ないよ。こういう所も好感が持てる。
追伸
黒壁スクエアへ行く時は、コインパーキングが限られた場所しかないので、行く前にチェックしておいた方がいいかも知れない。
料金自体は大した金額じゃない(1時間100円~150円程度)けど、場所がコチャコチャしてて分かり辛い。