子供の頃に信じていた迷信がある。

例えばこんなやつ。

 

・夜に爪を切ると親の死に目に会えない

・新しい靴を下ろす時は、やかんに靴底を当ててからにしないと怪我をする

・霊柩車が通る時は、親指を隠さないと親が死ぬ

 

とまあ色々あるけど、一番衝撃的で、かつ子供にとっては死活問題だった迷信はこれ。

 

コーラを飲むと骨が溶ける

 

あのね、ほんとによくそういう適当な事言うよね大人も。

でも子供はそれを信じちゃう。

いや、というか寧ろ大人になってからも暫く信じてて、コーラ飲まなかったからね。

 

大人って怖いな。子供ってバカだなあ。

そう思ってたけど、でもどうもそういう簡単な問題でもなさそうだ。

今回紹介するこの、「0ベース思考」の第8章「聞く耳を持たない人を説得するには?」を読むと、当時の子供が大人の狡賢い策略にまんまとはまってしまっていた事を思い知らされる。

 

この本の著者、スティーヴン・レヴィットはこの章の中でこう言う。

「人は小難しい話なんて聞かないし、第一スッと頭に入ってこない。
でも、唯一スッとすんなり入ってくる話がある」

 

それは、ストーリー

 

コーラは体に悪いから飲んじゃいけません

だと子供は反発して聞かない。だが、

コーラを飲むと骨が溶ける

そう言われると子供は初めて、「え、それはマズいな・・・」

となる。

それは、コーラは体に悪いから飲んじゃいけません

はただの命令なのに対して、

コーラを飲むと骨が溶ける

はまるで立証された(かのような)ストーリーだから。

 

 

新しい靴を下ろす時は、やかんに靴底を当ててからにしないと怪我をする

これもそう。

思うに、下ろしたての新品の靴は子供の足によくなじんでないから、転んだりして怪我をしやすい。でも子供に「靴がまだ馴染んでないから注意して歩きなさい」なんて言っても子供は聞くわけがない。

ではどうするか。そう、

 

「新しい靴を下ろす時はやかんに靴底を当てなさい。さもないと怪我をするよ」

というストーリーを語る。

 

そうすることによって子供はそのストーリー(迷信)を信じ、同時に自分は「新しい靴」を履いていると自覚する。意識は自然と足にいく。結果、転びにくくなる。

昔の時代の大人っていうのは、そんな子供がいとも簡単に信じてしまう唯一の方法、
そう、ストーリーを語る という手法を知っていて、それを巧みに利用していたんだね。きっと。

 

今回紹介したこの「0ベース思考」は、そんな風に物事をシンプルに考えて、とかく難しく考えがちな問題に対処する「考え方」を全編に渡って解説している。

読み進めると、「はぁ・・・」と溜息が洩れる。と同時に本当に痛快。

ほんの少しシンプルに考えるだけで物事の結果はこうも変わる

この本はその方法論を一つ一つ分かりやすく説明してくれる。

 

同時に、人に何かを伝えるには、難しい考え方ではいけないんだと思い知らされる。

 

まだまだ頭固いな。もっと、もっとシンプルに、本質と向き合って生きていかないと。

そんな風に改めて考えさせられた。