アニメ、「風の谷のナウシカ」で、アスベルがナウシカからチコの実を貰って食べた時のシーンを覚えてるだろうか。
なんか、すっごいマズそうな顔してチコの実を飲みこんでその後一言、
「味はともかく、長靴いっぱい食べたいよ」
子供の頃「風の谷のナウシカ」を見てこのセリフに「?」となって戸惑った方々も多いのではないだろうか。
しかもその後ナウシカが、「ウフフフフ」みたいにして笑うんだけど、それがまた不可解。
そもそもナウシカは何が可笑しくて笑ったのか。
ただの愛想笑いなのか。
アスベルがいきなり意味分かんないこと言うから、
「は?いきなり長靴とか何言ってんのコイツ。でもま、いいか。相手するとめんどくさいし、取りあえず笑っとこ」的なリアクションだったのだろうか?
まあそれは言い過ぎとしても、冷静に常識の範囲内で考えれば、「味はともかく長靴に入るだけのチコの実を食べたいよ。つまりそんだけ今はお腹空いてるってこと」的な感じか。
しかしよくよく考えたらその言い方も随分じゃないか。
「チコの実マズっ!でももう一杯!」
的な、青汁のCMと大して変わらないリアクションだからね。
いくら子供とは言え、ちょっとデリカシーが無さ過ぎるんじゃないのと。
考えても見て欲しい。母親が「今日の夕食はカレーライスよ」と言ってカレーの入った皿を差し出して、それを食った子供が一言、
「味はともかく、鍋にあるだけ全部食べたいよ」
とか言ったら
「は? 喧嘩売ってんの?」
と普通はなるでしょう。
そう考えるととナウシカの「ウフフフフ」もあれはあれで精一杯の彼女なりの優しさだったとも受け取れよう。
これは日常生活でもよくある話で、人はどうリアクションしていいのか分からない現実に遭遇した時、つい愛想笑いでその場を乗り切ってしまおうという短絡的な衝動に駆られる。
だって、何言ってんのかよく分かんないし、いちいち聞き返して面倒臭い奴だとか思われるのもやだし、かと言ってノーリアクションだとそれはそれでお互い気まずいし、そう考えると愛想笑いが最善の策のように思えてしまう。
だがこの際はっきり言っておくけど、愛想笑いは決して最善の方法などではない。
寧ろ場合によっては余計相手に誤解を生む、最悪のリアクションとなり得る。
例えば、
「俺ってバカだよねー?」
って冗談半分で言った時に、
ウフフフフ
と、愛想笑いで返された時のショックを想像してみるとよい。ちょっと立ち直れない。
もっとも、ナウシカクラスになればその辺の使い訳は俺なんかに言われなくても重々わきまえてるとは思うが。
追伸
「風の谷のナウシカ」を知らない人などよもや日本にはいないだろうけど、
原作コミックを知らない人なら結構いそうだ。
はっきり言って、原作のナウシカを始めとする登場人物の格好良さはアニメの比じゃないので、機会があれば是非読んでみて欲しい。
特に、アニメでは中途半端な悪キャラだったクロトワが見せる原作での格好良さは一読の価値あり。クシャナのために軽いノリでああいう事されると、昭和生まれにはちょっと反則だ。