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回、4月17日のブログで、東洋経済のセミナー案内メールの文章があまりにも酷過ぎて思わず紹介したが、今日取り上げる文章もまた酷い。

株式会社IHIエスキューブ、草葉社長がホームページ上で語っている言葉である。

以下にその文章を青文字で掲載する。

 

 

http://www.iscube.co.jp/contents/top_mes.html

IHIエスキューブ>会社概要>トップメッセージ より

 IHIエスキューブは、IHIグループの一員として、情報・通信の専門技術(ICT)に基づいた、コンサルティング、ソリューション提案、システム構築から運用保守までのライフサイクル全体にわたる総合ICTサービスを提供しています。

 ビジネス環境が複雑・多様で、変化のスピードと不確実さを増す中で、ICT活用の優劣は、企業の競争力に影響する重要な経営要素になってきています。IHIグループのものづくりの基本精神である「現場、現物、現実」の三現主義を大切にし、お客さまの現場に密着して、業務・生産プロセスのICT化、製品・サービスの競争力強化に取り組んでいます。 
一例をあげますと、財務・人事などの各社に共通する業務プロセスを効率化するパッケージソフトiSシリーズ、ライフサイクルにわたって高い信頼性が求められる航空エンジン事業などを支える生産管理システム、各社の物流を効率化する倉庫管理システム、発電用ボイラなどエネルギーシステムの設計を支える3D-CADや高度な解析サービス、コミュニケーションインフラとして世界の拠点を結ぶグローバルネットワーク、BCPの中核となるデータセンタの構築、運営などです。

 IHIグループの経営理念「技術をもって社会の発展に貢献する」「人材こそが最大かつ唯一の財産である」のもと、「情報通信技術による製品・サービスの提供を通して、社会と産業の発展に貢献する」との当社の経営理念を掲げ、最新技術の獲得と実用化を目指します。
そして、行動規範の第一「基本は人」とし、人材育成を経営の最重要事項と位置付け、業務を通じて成長し、変化に対しチャレンジを続ける向上心をもった人材の育成に注力しています。
IHIエスキューブは、総合力に磨きをかけ、培ってきた幅広い知識と実践的なノウハウに最新の技術を融合し、お客さまに貢献するソリューションを提案・提供してまいります。

IHIエスキューブ代表取締役 草葉 義夫

 

 

 

 

 

前もそうだったんだけど、どうもこのIT関連企業の上層部の人っていうのは、物事を人に分かりやすく伝えようとかいう気がそもそも無い気がする。

 

 IHIエスキューブは、IHIグループの一員として、情報・通信の専門技術(ICT)に基づいた、コンサルティング、ソリューション提案、システム構築から運用保守までのライフサイクル全体にわたる総合ICTサービスを提供しています。

 

先ず句読点が多く、文章が長すぎ、かつ専門用語が多すぎて最後まで読む気がしない。
それぞれの専門用語の意味はともかくとして、少なくとも用語を聞いてもイマイチ内容がイメージできない人のために、多少なりとも気を遣って文章を書くという発想は無いのだろうか。

 

自分ならこう書く。
皆様はIHIエスキューブという企業をご存知でしょうか?
我々IHIエスキューブはIHIグループの一員として、情報、通信の専門技術(ICT)に基づいた総合サービスをクライアントへ提供している企業です。
その業務内容はコンサルティングやソリューション提案、システム構築から保守運用まで多岐にわたっています。

 

まあ最初の一行は必要ないと思うけど、より親しみを持って欲しいという意味で付けてみた。
大事なのはすぐにクソ長い文章にしないことだ。ダメな文章を書く人は大抵これをやる。

 

 

 ビジネス環境が複雑・多様で、変化のスピードと不確実さを増す中で、ICT活用の優劣は、企業の競争力に影響する重要な経営要素になってきています。IHI グループのものづくりの基本精神である「現場、現物、現実」の三現主義を大切にし、お客さまの現場に密着して、業務・生産プロセスのICT化、製品・サー ビスの競争力強化に取り組んでいます。 

 

主張したいことがよく分からない。
前文では競争力強化のためにはICT活用が大事だと訴えている。
なのに後半では”ものづくり”の精神に則って現場に密着していると主張している。
入れたい言葉が多すぎて全体的に文章が一貫していない、意味の分からない文章になっている。

 

一例をあげますと、財務・人事などの各社に共通する業務プロセスを効率化するパッケージソフトiSシリーズ、ライフサイクルにわたって高い信頼性が求められる 航空エンジン事業などを支える生産管理システム、各社の物流を効率化する倉庫管理システム、発電用ボイラなどエネルギーシステムの設計を支える3D- CADや高度な解析サービス、コミュニケーションインフラとして世界の拠点を結ぶグローバルネットワーク、BCPの中核となるデータセンタの構築、運営な どです。

 

一例をあげる と言っておきながら一体幾つ例を出してるのかと。
まるで「一分だけお時間ください」と言っておいて延々と何十分も商品の説明を始めるタチの悪い営業マンのよう。
文章では自分で言った約束を守るという事が何より大事だということが分かってない。
そして、書き手が読者にした約束を守らない文章など誰も真面目に読みやしない。
人に読まれる文章を書きたいのならこれは肝に銘じておくべき。

 

 

 IHIグループの経営理念「技術をもって社会の発展に貢献する」「人材こそが最大かつ唯一の財産である」のもと、「情報通信技術による製品・サービスの提供を通して、社会と産業の発展に貢献する」との当社の経営理念を掲げ、最新技術の獲得と実用化を目指します。

 

正直、色んな”理念”だらけでもう何が何やらさっぱりだ
もはや絶望的に文の構成がなってない。
せめてIHIグループの理念とIHIエスキューブの理念、どっちの理念をより強調したいのか、その優先順位くらいは文中ではっきりさせるべきだろう。どっちも大事だなんて詭弁でしかない。
欲張ってみた所で、結局はどれも相手には伝わらない。

 

「3つ言うのは、何も言わないのに等しい」

ジェームズ・カービル

 

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書き直してみた


以下に社長の言葉を自分なりに書き直した文を赤文字で掲載する。

 

皆様はIHIエスキューブという企業をご存知でしょうか?
我々IHIエスキューブはIHIグループの一員として、情報、通信の専門技術(ICT)に基づいた総合サービスをクライアントへ提供している企業です。
その業務内容はコンサルティングやソリューション提案、システム構築から保守運用まで多岐にわたっています。

今更言うまでもないことですが、IHIグループはジェット機のエンジンから船舶、そして原子力高炉に至るまで、様々な物を作る、“ものづくり”企業です。
そのIHIグループの掲げる“ものづくり”の基本精神は、「現場、現物、現実」です。
これをIHIグループでは“三現主義”と呼びます。
我々IHIエスキューブもIHIから派生したIHIグループ企業の一員として、この“三現主義”を大切にしてまいります。
そして常に現場のお客様の声に耳を傾け、今求められているサービスが何なのかを見極め、 業務、生産プロセスのICT化、製品、サービスの競争力強化にこれからも取り組んでまいります。

さて、現在のビジネスの用途や構造は、昔に比べて非常に複雑化しています。
そしてその変化のスピードは速く、中にはそれに付いていくことができずに、日々の業務を確実に行うことさえ困難な状況に陥っている企業が数多く見受けられます。
このような時代の中で日々の業務を確実に行い、かつ企業の競争力をより高めていくためには、冒頭で述べたICT活用がとりわけ重要になってくるでしょう。

ではここで、我々が行ってきたICT活用とは具体的にどのようなものなのか、幾つか例を挙げてご説明いたしましょう。

・財務・人事などの各社に共通する業務プロセスを効率化する「パッケージソフトiSシリーズ」の導入
(これにより各IHIグループ企業は、煩わしいソフトのバージョンアップ作業や、やたら待たせられるソフトメーカーへの技術的問い合わせ等をする必要がなくなりました)

・ライフサイクルにわたって高い信頼性が求められる航空エンジン事業などを支える「生産管理システム」の開発、導入
(これにより各IHIグループ企業は、今まで以上に生産業務に集中することができるようになり、生産性はアップし、また利益率も向上しました)

他にも、
・各社の物流を効率化する倉庫管理システムの導入
・発電用ボイラなどエネルギーシステムの設計を支える3D-CADや高度な解析 サービスの導入
・コミュニケーションインフラとして世界の拠点を結ぶグローバルネットワークの導入
・BCPの中核となるデータセンタの構築、運営
など、様々な分野でIHIエスキューブが提唱したICT化が行われ、その効果は導入前と比べると比較にならないほどです。

次に、経営理念についてです。
我々IHIエスキューブの経営理念は次のようなものです。

「情報通信技術による製品、サービスの提供を通して、社会と産業の発展に貢献する」

そのため我々はこれまで以上に最新技術の獲得と、その実用化に熱意を燃やしてまいります。
しかしながらそれだけではいけません。
技術やサービス、発展は勿論大事です。しかし、その根底にあるものは常に「人」であると我々は考えます。
そのため我々は人材育成に一切の妥協はいたしません。
そして、IHIグループ共通の経営理念である、

・技術をもって社会の発展に貢献する
・人材こそが最大かつ、唯一の財産である

という考えの元、業務を通して成長し、そして変化に対しチャレンジを続ける向上心を持った人材の育成にこれからも尽力してまいります。
IHIエスキューブは、これからもお客さまのために価値あるソリューションを提案・提供してまいります。

 

うーん・・・
何か、分かりやすくはなったけど、文字数が倍になってしまった。
やはり、

今更言うまでもないことですが・・・

のくだりが余計だったかも知れない。

ただ、この文を追加したのはちゃんと理由があって、

そもそもIHIエスキューブのホームページを見に来る人ってどういう人達なのか

って事を考えた。

 

そうすると、やはり一番多いのは就職活動でIHIエスキューブに応募しようかどうか悩んでいる学生達なんじゃないのかと。

そう思った理由は、GoogleIHIエスキューブと入力すると、追加予測検索ワードとして年収という文字が一番上に出てくるからだ。
では、企業名年収と入れて検索するユーザーとはどんな人達か?
そう考えると浮かび上がってくるのはこれから就職活動を控えた学生達だ。

 

では彼らは何のためにわざわざ年収というサブキーワードまで入れて検索してくるのか。
知りたいからに決まってる。
自分が、これからもしかしたら一生お世話になるかも知れない会社について、知れる事なら何でもだ。

だが少なくとも自分はIHIという企業自体最初はよく知らなかったし、どんな企業なのかはIHIという頭文字3文字だけでは想像もしにくい。

そして多くの企業のホームページがそうであるように、会社概要のページなんか見てもその会社が何をやっているのかなんて何も伝わってこない。
製品のページを見てもそれは同じ。書かれてある内容はそもそもIHIグループに入社しないとその必要性すらよく分からない社内専用システムの説明ばかり。

これで一体IHIエスキューブの何を理解しろと言うのか。

 

本来会社ホームページに載せなくてはいけない内容とは、IHIエスキューブのこともIHIのこともITのこともよく分からない人でも、ここに書いてある事を読めばそれらの事が一通り理解できて、尚且つその会社の思想や信念が伝わってきて、ホームページを見た若者がそれを見てワクワクして、「この会社に入りたい!」と強く願うような情報じゃないといけないんじゃないの?

 

そういう思いでIHIがどんな企業なのかを自分なりに調べて文にしてみたってわけ。

言っちゃ悪いけど、社長のあの言葉なんかより今回俺が書いた文章の方がよっぽどIHIエスキューブという会社を、何も知らない初心者に分かりやすく、かつ情熱的に説明できてると思う。

例え社長がこのあとどれだけあの文章を書き直そうと、俺の方が絶対に分かりやすく心に響く文章が書ける。それだけは自信がある。

 

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最後に


その企業のトップ、つまり社長の言葉っていうのはそれだけ多くの人に見られているし、そしてより大きなものを求められてるって事を決して忘れてはいけないと思う。

なのにトップ自ら、あんな分かり辛い事言ってていいのかと。

分かりやすく読みやすい文章っていうのはセンスや才能、知識じゃない。

読者への思いやりがどれだけあるかどうかだ。

そして、読者を思いやる分かりやすい文章を書いてホームページに載せるということが、ひいてはお客様を思いやるということに繋がらないだろうか?

個人的にはそう確信している。