先日、あるマンガを買いに本屋へ行った。
欲しかったのはこのマンガ。
それなりに大きな書店に行ったのだが、いくら探しても見つからない。
と言うより、
似たようなマンガが多すぎて探す気が失せる。
分かった。こういう時は出版社から探せばいいんだ。
そう気付いて、スマホでこのマンガを調べる。
なるほど、BLADE COMICSね・・・。
そもそも最近のマンガにさほど詳しくもない自分にとっては、このBLADE COMICSというコミックがメジャーなのかマイナーなのかもよく分からない。
そして結局そのBLADE COMICSというコーナーも見つからず。
もう、本当にいい歳したオッサンが恥ずかしくて嫌なんだけど、このままコミック売り場をグルグル周回するのもそろそろ体力の限界に近付いてきたので、恥を忍んで店員に聞くことにした。
「あの、すいません・・・このマンガを探してるんですけど・・・」
もう、タイトルとか言うのも恥ずかしいんで、スマホでこのマンガの画面を出した状態で店員に声を掛けた。
「あー」
店員は自分が見せたスマホの画面を見ると、何かちょっと申し訳なさそうな顔をして、本棚の方へ向かった。
すると、あったではないか!
もう、何周したか分からないコミック売り場のとある一角の本棚の中段に、リィンカーネーションの花弁が立てかけて置いてあった。
ただし、3巻だけが!
「すいません。今このマンガ、3巻だけしか無いんですよ・・・」
と、申し訳なさそうに店員が言う。
「そうですか。わかりました・・・」
残念だったが仕方ない。やはりこのマンガはあまりメジャーではないんだろう。
そんなことよりも私が驚いたのは、
よくスマホの画面でマンガの表紙見ただけで置いてある場所が分かったな!
という事。
しかも、最初に店員が「あー」と言ったのは、その時点でこのマンガが今は3巻しか無い事を知っていたからなんだろう。
つまり、その店員の頭の中ではこの、あまりメジャーではないマンガの在庫管理まで既に出来ていたわけだ。
すごいね!本屋の店員って!
ってそういう話を今日はしたいんではなくて!
本屋の本の売り方って、今のままで本当にいいの?
って話。
今、多くの書店はAmazonに客を取られて窮地に陥っているらしい。
その理由が何なのかを書店は本当に理解しているのか?と。
因みに私はAmazonのプライム会員になって、もう10年近くになる。
年間で購入する本の総額は凡そ年20万円から30万円位。
その購入の殆どはAmazonからだ。
なぜか。
理由は主に3つ。
1.どんな本でも大抵は注文した翌日には配送される
2.誰でも立ち読みできる書店と違い、Amazonだと手垢のついてない綺麗な本が買える
3.欲しい本を探す手間が省ける
この3つのAmazonのメリットに対して、一般書店はどれだけ対策をしているのだろうか。
1.どんな本でも大抵は注文した翌日には配送される
Amazonなら翌日にならないと欲しい本が手に入らないが、書店なら翌日を待たずともその場で欲しいと思った本が手に入る。
これは本来すごいメリットの筈なのに、下の2のデメリットがあるため、結局はAmazonに食われる。
2.誰でも立ち読みできる書店と違い、Amazonだと手垢のついてない綺麗な本が買える
そう、仮に書店で立ち読みして欲しいなと思う本に出会ったとしても、もしその本が1冊しかなくて、しかもその本が手垢が付いてて結構汚れていたとしたら、私ならその本は買わない。
そして店を出てスマホを取りだしAmazonにアクセスし、翌日配送で購入手続きを完了する。
はっきり言って、書店からしてみたらふざけるなという話だ。しかしそれが現実だ。
恐らくそういう本の買い方をしている人は、自分以外にも多いのではないだろうか。
じゃあ、そうならないように書店ではAmazon対策として何をしているのか?
何もしていない。
書店はAmazonと比べて、フラッと立ち寄っただけの人が偶然手に取った本に思わず惚れてしまうという、”本と人との出会い”の場を提供できるという素晴らしい優位性を持っているのに、それを全く生かし切れていないのが現状ではないか。
じゃあどうしたらいいのか。
これは前から思っていた事なのだが、
立ち読み専用の本を置くことは不可能なのだろうか。
そして、多くの人に立ち読みされた本は時期が来たらアウトレットとして割引して売る、これも不可能なことなのだろうか。
3.欲しい本を探す手間が省ける
欲しい本が見つからない
これは本当に深刻な問題。特に冒頭で言ったマンガに関してはもう致命的だ。
はっきり言って、昔に比べてマンガの種類と数が多すぎるんだよね。もう、付いていけない。
ちょっとネットなんかで知って「いいな」と思ったマンガを探しに行くと、大抵見つからない。
平積みされてるような有名なマンガならいいけど、あまり有名じゃないマンガだともうアウト。
ひたすら探すも見つからず、諦めて帰るかAmazonで買うかの二択となる。
こうなる原因はもう、たった一つでしょ。
なぜタイトルのあいうえお順でマンガを置けない?
出版社ごとに並べられたって、買う方は欲しいマンガがどこから出版されていようと知ったことじゃないんだよ。
マンガによってサイズが違うとか、出版社ごとに置かないと検品や棚卸に支障が出るとか色々と事情もあるんだろうけど、それを敢えてやらないともう、これからも書店はAmazonに食われるだけだと思うんだよね。
実際、今回自分はこのリィンカーネーションの花弁を結局Amazonで買った。
最初からAmazonにしないで書店で買おうと思った理由は、どうしても今日読みたかったから。
そう、書店にはAmazon購入には無いメリットがまだちゃんとあるんだよ。
Amazonの翌日配送はすごいメリットだけど、裏を返せば(現状では)Amazonでは欲しい本を”今日”手に入れることはできないって事なんだからね。
でも、せっかくそういう気持ちで書店へ行っても、あんな分かり辛い置き方されたんじゃもう、客は混乱するだけだ。
今回のケースでは元々在庫が無かったから仕方ないけど、あの置き方じゃ実際にそのマンガが仮にどこかに置いてあったとしても探し出せないで帰ってしまう客が相当数いる筈。
店員に聞けばいい?
そう、その通りだ。実際店員は本当によく勉強しており、売り場に精通しているのはよく分かった。
だけど、悪いけどその発想しかないんじゃあこれからも客はAmazonで買うよ。
結局
正直、書店にも再販制度や在庫管理等、色々なしがらみやら独自のやり方やらがあって大変なんだろうけど、そろそろ変わらないと。いつまでも昭和の時代の本の売り方してたってダメでしょう。
敵はAmazon。強大だ。
正直、書店には本当に変わって欲しいと願ってる。
もし書店が本気で変わる気があるのなら、私もAmazon購入を控えて書店購入をするよう、本気で検討する用意がある。
これは本当の話。
正直、たかだかマンガ1冊で宅配便業者を煩わせるのは個人的にも不本意なのだから。
繰り返すが、こちらにはAmazon依存から変わる用意はある。
但しそれは書店側が今のやり方から脱却してくれたらの話だ。