ひと昔前までは、街で外国人を見ると珍しくて、思わずじっと見入っちゃったりしたものだが、そんな時代は今やもう過去。
現在では街を歩いていて外国人観光客を見ないことの方が逆に珍しい。
日本ももうすっかり観光大国となってしまったようだ。
さて、街を歩いていると、そんな外国人観光客に道を聞かれたりすることがたまにある。
勿論、文化の違う異国の地でお困りなのだから、そういう時はなるべく親切に教えてあげるようにはしている。
だが、気になるのはその、物の尋ね方。
どうも、白人の欧米人と、アジア系民族とでは、人に対する物の尋ね方がそもそも違うようだ。
まず、アジア人観光客
アジア人観光客は、基本的に日本人に道や物を訪ねる時、カタコトでもとにかく日本語で尋ねようとする。
「スミマセン、ココ、イキタイデス」みたいな感じで地図を指さしたり、
或いは、駅の発券機の前で、いきなり「スミマセン、キップ」と言いながら行きたい駅名が書かれた紙と小銭を見せてきた不用心なアジア人もいた。
何れの場合も、その姿はどこか日本人的で、微笑ましい。
それに対して白人は、「excuse me?」と、いきなり英語で尋ねてくる。
で、こっちは英語を話せない、という旨を伝えると、「やれやれ・・・」的な苦笑いを浮かべて去っていく。
全く・・・何て上から目線な奴らだろう。
そんな白人達には、中田英寿が昔イタリアでとある会見の時、「われわれもイタリア語で質問しないといけませんか?」と聞いてきた日本人記者に言った皮肉を贈ってやりたくなる。
「ここがどこなのかを考えてみてください」
勿論、白人の中にも礼儀正しく日本語で尋ねてくる人も中にはいるんだろうと思う。
だが自分の中での白人のイメージは、大体そんな感じだ。
ただ、何故だろう。私はそんな白人の上から目線スタイルが、実はそんなに嫌いでもない。
白人の行動スタイルと生き方
昔、私が一人でタイをフラフラと放浪していた時の話。
カオサン通りのある店で昼飯を食べていたら、自分と同じような一人旅風の白人男性が店に入ってきた。
ちょうど昼時の時間帯だったので、店は混雑していて席は満席だった。
するとその白人は、店の中を悠然と見渡し、やがて飯を食っていた自分の目の前の席にクールに座った。
顔を上げる私に対しその白人は「excuse me」と言うでもなく、申し訳なさそうな態度を取るでもなく、ただ、「仕方ないよね。満席だし」と言うように軽く目配せだけして見せた。
それを見て私は不覚にも、
かっこいい・・・
と思ってしまった。
カオサン通りには世界中の一人旅をするバックパッカーが集まってくる。
勿論、日本人も沢山居て、歩いているとよく擦れ違う。
そこで思うのは、
一人旅の日本人は自分も含め、どこか不安げに用心深く街を歩いているのに対し、白人は誰もがみんな例外なく自身満々に歩いているということ。
そしてそれは白人が人を見下してるとかそういう事ではなくて、純粋に生き方の問題なんじゃないかと。そんな風に思ったりする。
少なくとも私の目から見たら、白人は誰も恐れているように見えない。
だから、誰とでもすぐ友達になれる。
逆に、多くの日本人はそうじゃない。
必要以上に用心深いし、必要以上に相手を見定めようとするし、そして、少し無理して大らかなフリだけをする。
私は白人の外国人は好きではないし、今でも苦手だ。
だが、彼らの生き方と習性については時々考えさせられる。
もし白人の上から目線ぶりが気になって仕方ない、なんて感じてしまう時は、
自分が必要以上に自信を無くして卑屈になっていないか?そう反省してみることにしている。