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る日、不動産会社から電話があった。

 

「お世話になってます。○○不動産と申しますが、現在ご契約中の賃貸物件の更新時期が近付いてきておりますが、更新は如何なさいますか?」

「ああ、じゃあ更新でお願いします」

「かしこまりました。では、更新手続きに必要な書類をお送りしますので、記入して返送をお願いします」

数日後、郵便ポストにその不動産会社からの書類一式が入っていた。が、

 

宛名が全然知らない人の名前だった・・・

 

だが封筒の宛名を見ると、切っ手が貼っていない。という事は不動産会社の人が直接ポストに入れて行ったんだろう。

直接来て入れてったって事は、宛先を間違えたとも考えにくい。

もしかしたら大家の名前で入れてったのかも知れない(大家の名前とも違う気がしたが)

そう思い、封筒を開けると、

 

やっぱり全然違う人のだった。

 

どういうこっちゃ。全く意味が分からない。

 

仕方ないから不動産会社にまた電話する。

「すいません、全然違う人の更新手続き用の書類がポストに入ってたんですけど・・・」

すると不動産会社は、申し訳ありませんと平謝り。どうやら普通に間違えただけらしい。

すぐ差し替えた物を送り直します、との事。

 

言っちゃ悪いけど、不動産会社ってどこもこういう、適当な仕事ぶりが目立つね。

 

仮にも他人の個人情報を大量に扱ってるんだから、もうちょっとしっかりしてくれないと。

前の不動産会社もそうだった。

退去する際の修繕見積もりを紙で送って欲しいとお願いしたのに、なかなか送って来ない。

電話で催促する度に「はいはい、すぐ送ります」を繰り返すのみ。

このやり取りが5回位繰り返されてさすがにちょっと頭に来たので、言葉を選びつつも少しきつめに言ったら、結局修繕費用は払わなくてもいいという事に。

いや、こっちは別にそういう系のクレーム付けてたわけじゃないんだけどね。まあ、費用が無料になるのはそれはそれで有難いけどさ。

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話は戻って、更新手続きのその後。

ちゃんとした書類がようやく届いて、いざ手続きをしようと書類に目を通していると・・・

更新に必要な書類欄に、保証人の印鑑証明とある。

 

・・・はい?

 

いや、ちょっと待って・・・これって更新手続きだよね?

更新ってことは、以前交わした契約がそのまま続行でいいかどうかの確認をして、双方問題無ければサインするのが更新じゃないの? 更新料は勿論払うとして。

 

どうもよく分からないので再び不動産会社へ電話する(本当はしたくないんだけど)

 

私「あの、すいません、更新手続きについてなんですが、保証人の印鑑証明って更新ごとに必要なんですかね?」

不動産会社「はい。必要です。二年ごとに新規と同じ扱いで契約をしていくことになるので」

私「入居審査が二年ごとに入ると?」

不動産会社「そういうことではありませんが、あくまで形式上はそういう形となります」

私「今まで色んな不動産会社使って部屋借りてきたけど、こういうのってあまり無いんだけれど・・・」

不動産会社「うちでは全てこのシステムです」

私「それは法的な話ではなく、御社のシステムでってことですか?」

不動産会社「はい」

私「では、これから大家に連絡をして、大家が保証人の印鑑証明は要らない、と言えば提出は不要ということでいいですか?」

不動産会社「まあ・・・そうですね・・・大家が言うのであれば」

 

どうもシステムの話になると経験上、揉めるだけ揉めて結果埒が明かない事が多いので、キーマンと直接話して早めにカタを付けることにする。

 

ただ、どうも調べてみた所、この二年の更新ごとに保証人の印鑑証明提出というシステム自体は、そんなに珍しいものでもないらしい。

 

だが不動産会社は少し賃借人の事をもう少し考えてみて欲しい。

保証人になって欲しいと親や親族にお願いする時のあの後ろめたさを。

別に借金の保証人になるようお願いしてるわけでもなく、ごくごく普通に部屋を借りて生活したいだけなのに、この保証人制度のお陰で部屋を借りる時は親や親族、知人相手にえらい下手に出ないといけない。

これを二年ごとにやれと?

ちょっと考えただけで、それがどれだけ無茶言ってるのか分かりそうなものだ。

ましてやうちの保証人である親は年金暮らしの後期高齢者。

賃貸の更新程度でそんな面倒を掛けたくないという気持ちは当然ある。

そして私は今まで家賃滞納など一度もしたこともない。

そういうものを全く考慮せず、ただうちのシステムだから二年ごとに保証人の印鑑証明出せだのと、随分と賃借人の事情を無視した横暴な話だ。

そして、システムシステム言うくせに自分らは今回のように、人の個人情報を簡単に取り間違える。これも少し反省してくれと。

 

全ては一番最初の契約書に、二年ごとの更新時は記載した契約者、保証人の内容に相違が発生しない限り、自動で継続、更新されるという文面を入れておけばいいだけの話じゃないかと。

 

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まあ、不満ばかり言ってても仕方ないので、大家の所へ行って話を付ける事にする。

何せこの交渉は大事だ。

この交渉が決裂すればまた親に頭を下げて印鑑証明を取ってきて貰い、要らぬ心配をさせることにもなる。

それが本当に必要な手続きなら致仕方無いが、今回のこの更新手続きではその手続きが必要とは到底思えない。大家がどうしてもとそれを望んでいるのなら話は別だが。

そもそも更新料を二年ごとに払う意味がまず分からない。

不動産会社が更新時に家賃一カ月分に見合う仕事をしてくれているとも到底思えない。おっとまた愚痴が出てしまう。

 

因みに大家の家はうちの3件隣にある。

だが、ぶっちゃけ殆どまともに話した事はない。

たまに朝早くに外で掃除している時に挨拶をする程度だ。

こういう時のために日頃からもっと親しくなっておくべきだったと、少し後悔。

もっとも、こんな後悔は毎回しているが。

 

大家の家の玄関に来て、チャイムを押す。

「はい」

大家のおばちゃんの声がインターホン越しにする。

「あの、ハラと言いますけど」

「はい」

「あの、部屋借りてるハラです」

「はい」

うーん、どうも分かってない感じがする。

電話で交渉する仕事が長かったせいか、自分の名前を名乗っても相手の声のトーンが全く変わらない場合、相手はまだこっちが誰なのかをイマイチ判別できていないケースが多い。
つまろこの場合、大家は自分が誰なのかまだ良く分かっていないと推測される。

「あの、アレです。3件隣の・・・」

「だから分かってるわよ! 要件は何なのって聞いてるの!」

 

・・・分かってたのか!

 

「ちょ、ちょっと更新の件でお話がありまして・・・」(←動揺した)

「ちょっと待ってて。今ドア開けるから」

 

で、勇ましく(失礼)大家のおばちゃん登場。

「あ、こんばんは・・・こんな時間にすいません。実は・・・」

と、簡単に事情を話す。

「ああ、でもね、うち、そういうのは全部不動産屋に任せてあるのよ」

来た来た。そう言うと思ってたよ。だが、その方がこっちも話は早いんで、寧ろ好都合。

「いえ、不動産会社は大家さんが印鑑証明、要らないと言うなら必要無いと言うので・・・私も大家さんの意見に従いたいな、と」

すると大家のおばちゃん、「そう来たか・・・」と言うような顔で苦笑する。

もう、その顔で分かっちゃうんだよね。大家も、借主の自分も、どっちも不動産会社がすごい良い仕事するなんて思っちゃいないわけ。だから、ここからは信頼の話。

 

1.最初の契約通り、契約者、保証人、記載したものと現在も何も変わってない

2.更新は是非したいし、ここが気に入ってる

3.家賃滞納なんてした事ないし、これからもするわけがない

 

要するに更新に必要な手続きはちゃんとやるから、保証人の印鑑証明の提出だけは免除して欲しい、と。そのために入居時にちゃんと提出してるんだからと。

そもそも何も筋の通らない事言ってるつもりはない。普通の事を言ってるだけだと思ってる。

といった話を、なるべく誠実に、熱くならずに大家に話す。すると、

 

「んー、いいわ。分かった。それでいいわ」

と大家。

「不動産会社から何か言われたら、大家のわたしが要らないと言った、と言ってくれればいいわ。それよりあそこの木なんだけどね・・・」

と、まあここからは例によって大家の(ちょっとだけ長めの)世間話が始まってしまうわけだが、まあそれはいい。

寧ろ、こういう所でちょっと仲良くなっておくべきだろうと。

それがいつか何かする時の信頼に繋がる。

信頼、ね。

信頼があれば、こんな複雑で面倒な書類なんて、この世から一体どれだけ不要になるんだろうか。

そんな事を考えてしまった、ある日の夜。