世の中、好きなマンガについて熱心に書かれたブログは多いが、嫌いなマンガについて切々と情熱的に書かれたブログは少ない。
そこで今日は私が偏見のみで選んだ、思わず読む気が失せるマンガについて熱く語ってみようと思う。
題して、「こんなマンガが嫌いだ」
一つだけ断っておくと、私はマンガが大好きだ。
立ち読みして気に入ったマンガは、迷った挙句大体全巻揃えてしまう。
一方で、読んでいて残念に思うマンガもまた多い。
せっかく魅力的なものをみんな持ってるのに、ちょっとした事が気になって読む気が失せる。
そんなマンガは今までの人生の中で本当に沢山見てきた。
好みと言えばそれまでだ。大体作品が気にいる気に入らないなんてものは、ほぼ感性で決まるものだから。
そこに実際にマンガを描いた事もない自分が、後から理屈を付けてああだこうだ言うのは自分でもどうなのかと思う。
ただ、今から挙げるようなマンガは恐らくこれからも読む事は無いだろうし、それに人によっては幾つか共感してくれるものもあるんじゃないかと思う。
そんな感じで、軽い気持ちで読んで貰えたら幸いだ。
こんなマンガが嫌いだ
1.いきなり前置きから入るマンガ
2◯XX年、地球は核戦争によって滅びた。僅かに生き残った人類は・・・的なありがちな出だしで始まるマンガ。
こういうマンガは個人的に全く受け付けない。
何より、「俺はスケールのでかい大河ドラマ的マンガを書いてるんだぜ」的な作者の上から目線が感じられて気分が悪くなる。
そう言えばアニメ「ONE PIECE」の出だしも毎週、
富、名声、力。この世の全てを手に入れた男、海賊王ゴールド・ロジャー。彼の死に際に放った一言は人々を海へ駆り立てた。
みたいな感じで始まるが、はっきり言ってこれも毎回興ざめ。
前置きとか要らないんだよ。こういう陳腐な前置きを付けられると壮大な物語も逆に陳腐に見えてくる。
あの名作「天空の城ラピュタ」のオープニングを見るがいい。
いきなりシータがドーラ一味に襲われ、空からパズーの元へ降ってくるという、訳の分からないオープニング。
多分、初めてあの映画を見た人は「?」となったことだろう。
あれだけの壮大なストーリー。本当なら天空の城にまつわる悲しい過去とか、飛行石の秘密とか、シータの両親の回想シーンとか、そういう説明的なシーンから始まっても良さそうな所。
それが、いきなりシータが空から降ってくる。ただそれだけの、圧倒的に説明が足りてないオープニング。
そこでもう、視聴者はそのよく分からないシーンに釘付けになる。
それが物語が進むにつれ、謎が少しずつ解明され、そしてストーリーはどんどん弾けていく。
だが、映画が終わっても細かい所は結局分からないことだらけ。
だからファンはあの映画の虜になる。
何度も、何度も繰り返し映画を見る。
そして、「きっとこういうことだ」「いや、そうじゃない」などと言いながらファン同士で語り合う。
本当に魅力的な物語って、そういうものじゃないのかな。
最初から全部を説明する理由がどこにあるのだろうか。
あれもこれも最初から説明したがる作品は、結局最後まで何一つ説明できやしない。
マンガはマンガ。伝記ではないのだ。
2.説明が足りないマンガ
1とは逆で、説明しなさ過ぎるマンガもまた興醒めだ。
とにかく冒頭から登場人物同士で何やら分かったような事を語り合っている。
そっちは作者だから描いてる頭の中で色々分かってるのかも知れないが、読んでる方は何も分からない。
そもそも主人公は何をしたくて、どういう理由で戦ってるのかくらい説明してくれよと。
いずれその内説明するつもりなのかも知れないが、読者がその時まで付いてきてくれるとどうして思うのか?
読者なんて興味が無くなればいつでも無責任に居なくなるものだ。
現に私自身、1巻や2巻だけ買って、その先を買うのを止めてしまったマンガが沢山ある。
明日ありと思う心の仇桜。
あまり自分の作風に酔っていると、気付いたら読者が一人も居ないなんて事になりかねない。
3.主人公が一人歩きするマンガ
「やっとやりたいことが見つかったの!」といきなり第一話で主人公が決意表明するマンガがある。
だが、少なくとも読んでる方からしたら主人公が何者なのかをまだ知らない。
主人公が今までどんな思いで生きて、どれだけ悩んで、辛い思いをして、そしてその結論に至ったのか、その経緯を何も知らない。
そんな何も知らない主人公がいきなり第一話で決意表明。はっきり言って「は?」となる。
スポーツ観戦してて、よく知りもしない選手を心から応援できるだろうか。
少し考えて見れば分かること。
なぜいきなり主人公が、しかもマンガの冒頭、第一話で決意表明しているのか。その理由がさっぱり分からないし、何で作者がそんなストーリーを書こうと思い立ったのかもさっぱり分からない。
いっそ、その主人公が「やっとやりたいことが見つかったの!」と決意表明するまでのストーリーを描いて欲しかった。
そう、一話目ではなく、最終回で主人公がその決意表明をしてくれるようなマンガを。
人はマンガの主人公に自分と似た所を見出すからこそ感情移入できるのであり、弱ければ強くなって欲しいと願うし、強ければたまにでいいから弱さも見せて欲しいと思う。
そんな読者を置いてけぼりにして勝手に決めて、勝手に歩き出す主人公。
一体どうすればいいのか。私にはそんなマンガを最後まで読む理由が見つからない。
4.主人公が頭が良すぎて付いていけないマンガ
何かよく分からないが、とにかく主人公の頭がいい。
どんなに窮地に追い込まれようと、まるで全ては計算づくというように華麗に乗り越える。
探偵もののマンガなんかは大抵この系統。
個人的に頭があまりよくない私にはもう、この手のマンガはお手上げだ。
もう、勝手にやってくれって感じだ。
しかし日本人はこういう、推理もののストーリーが好きだよね。
サスペンス劇場とか、怪盗ルパンとか。
私はこの手のマンガや小説を読んでも、推理しながら読んだ事など一度も無い。
推理しながら読んだら展開が変わるのなら考えるが、推理して読もうが読むまいがどの道迎える結末は同じなのだから。
とにかくアホを置いてけぼりにすんなと。そんなマンガは嫌いだ。
5.現実に存在しないようなキャラがやたら登場するマンガ
やたら前向き過ぎる男や、やたら脳天気過ぎる女、自分の魅力に気付いていないくせに、なぜか自信だけはある男、もう、一体世の中のどこにそんな人間が居るんだよと。
作者は自分が人生で出会った中にそんな人間が居たのか?
それとも、マンガだから自分の経験してない世界や人間でも幾らでも創り出せるとでも考えているのか。
お話なんてものはいくら想像しようと、所詮は自分の人生経験以上の物なんて描けないし、創れない。
そして、例えファンタジーが題材であろうと、あまりにもリアリティのない世界観や人物像なんて人は受け付けないものだ。
はっきり言って、最近の恋愛マンガやファンタジー物のマンガに出てくる登場人物よりなら、昔の時代物のマンガに出てくる侍や町娘の考え方の方が余程感情移入できるし、共感もできる。
時代がどれだけ変わろうと、人の考え方や生き方なんてそう変わるものじゃないだろう。
でなきゃ何で今でもあれだけ多くの人が大河ドラマを見るんだよ。
登場人物の生き方や考え方に共感できない作品なんて誰も見やしない。
ストーリー以前の問題だ。
最後に
以上、「こんなマンガは嫌いだ」集をお届けした。
最後に自分が一番好きな主人公像を書いてみたいと思う。
それは、ブレない男。
物語が20巻、30巻と続くと、どうしても矛盾点やブレが出てくるものだと思う。
そんな時、主人公がブレないでいれるか。
それは恐らくは作者の人生が問われているのではないかとも思う。
ブレずにいて欲しい。例え何があっても。
復讐の旅から始まったのなら、例え何があろうとその目的を忘れずに日々生きて欲しい。
でももし、旅の途中や様々な人との出会いによって考え方が変わってしまうような事があったなら、その時はおもいっきり作品中で苦悩して欲しい。
その苦悩の姿を見せて欲しい。
そうやって主人公が成長していく姿を見たい。
願わくば作者も一緒に成長して欲しい。
そして、もし叶うなら、読んでいる自分も、登場人物や作者と一緒に成長したい。
いい歳したオッサンが何言ってんだと思うが、これは偽らざる本音だ。
そうやってこれからも、いい作品に沢山出会って生きていきたいなと思う。
マンガには本当に期待している自分が、いつもそこに居るから。