2016年、日本の主要8都市の中で「もっとも魅力の無い街」1位に選ばれた名古屋市。
「二度と行きたくない街」1位に選ばれた名古屋市。
地元の人間からも「何が魅力なのか分からない」と言われてしまう名古屋市。
因みに、今回行われた調査の対象である主要8都市とは、以下の街だ。
東京
大阪
名古屋
横浜
神戸
京都
福岡
札幌
成程、どこも日本を代表する大都市である。
だが、上記8都市全てを観光で訪問し、かつその中で東京、横浜、札幌、名古屋で実際に暮らした経験もある私から言わせて貰えば、
この8都市の中で個人的に一番魅力的な街は、断然名古屋市である。
私は現在横浜市に住んでもう10年になる。
もし将来、横浜と名古屋どちらに定住したいか?と聞かれたら、それは断然名古屋だ。
と言うか、横浜と名古屋では比べ物にすらならない。
住みやすさ、快適さ、街の魅力、食べ物の美味しさ、どれを取っても名古屋に勝る街などこの日本には存在しないと言ってもいい。
現に横浜で暮らすようになった今でも私は毎年、年に1回は必ず名古屋に遊びに行く。
恐らくは今回のアンケートに答えた輩は、名古屋の魅力をあまりよく知らないのだろう。
名古屋がどれだけ素晴らしい街なのかを、あまりよく知らないのだろう。
悲しいことに。
では、名古屋の何が素晴らしいのか。
名古屋の魅力として以下の5つを挙げたい。何れも東京や横浜では到底太刀打ちできないものだ。
1.街の歩きやすさ
2.他を圧倒する地下街
3.超個性的な町並み
4.独自の文化・モーニング
5.日本最強の名古屋飯
街の歩きやすさ
私は人混みが大嫌いだ。
だが、名古屋の街を歩いていると、東京や横浜のようにストレスを感じる機会は非常に少ない。
最初は理由が分からなかった。
だが、何度も名古屋を訪れている内にその理由がはっきり分かった。
主要歩道の広さがそもそも他の都市と全く違う。
人は多い。それは東京と変わらない。
だが、幾ら人が多かろうと歩道のスペースさえきちんと確保されていれば、それはストレスにはならない。
私にその、当たり前の事を教えてくれたのはこの名古屋であり、そして他の街には無い名古屋独自の最大の魅力なのだ。
勿論、名古屋も全ての歩道が均等に広いわけではない。
錦やパルコ周辺のゴチャゴチャ感は東京の新宿や渋谷と較べても大差無いだろう。
だが、主要道路の歩道の整備具合は東京などとは比べようもない。
街を歩くというのは一番大事な行為であり、施設が充実していればいいという単純なものではない。
少なくとも東京や大阪の歩道に愛は無い。
だが、名古屋の歩道には愛とコンセプトがある。
他を圧倒する地下街
日本最大の地下街の規模ランキングは以下の通り。
1位 新宿駅(東京) 10万4500平方メートル
2位 栄(名古屋) 8万4100平方メートル
3位 名古屋駅 8万2400平方メートル
成程、1位は新宿駅でしたか。
だが正直、私は新宿駅もよく利用するが、正直新宿駅の地下なんて利用した事もない。
そもそも新宿駅の地下なんてゴチャゴチャし過ぎて、どこに何があるのかとか以前に、一刻も早く地上に出たいという感情しか沸かない。
渋谷の地下街も同様だ。
自慢じゃないが、私は東横線と副都心線が合流開通して以来、未だに渋谷でヒカリエの地下入り口を発見できてさえいない。
名古屋の地下街はあんなバカみたいに複雑で分かり辛いものではない。
そもそも東京の地下街は、地上に土地が足りないから地下に作りました的発想。
名古屋や札幌の地下街のように、移動手段として、または暖や冷を取るために、或いはホッと一息付きたいがために地下街を通るという発想はない。
横浜のダイヤモンド地下街なども確かに規模は大きいが、そもそも駅西口に地下街がそこにあるというだけの代物で、地下からも高島屋へ行けます的な存在意義しか個人的には感じない。
しかも地下街を歩いた先にあるのはただのオフィス街。
実につまらないし魅力もコンセプトも何も感じない。
横浜ダイヤモンド地下街の一番の欠点は、その地上がクソも面白くもない街だという事。
つまり地上と地下の一体感が無い。
一方名古屋ではテレビ塔、オアシス21、三越、中日ビルらが巨大な地下街で繋がっている。
言わば栄という街そのものが地上と地下でレコードのA面とB面のように表裏一体でコラボしている。一粒で二度美味しいとは正にこの事。
子供の頃地下街に感じたワクワクするイメージ全てがそこにある。
そう、名古屋の地下街は地下街と言うよりも地下都市という名が相応しい。
伏見地下街も忘れちゃいけない。
一体このノスタルジー感をどう表現したらいいのだろう。
わざわざ観光で足を伸ばすような場所じゃない事くらい百も承知。
だが、この伏見という街も何とも懐かしさを、昭和な日本を思い出させてくれる。
これこそが地下街。歩いていて楽しい街とはこういう街。
コンセプトは地域密着、外の人間に媚びない、こんな姿に観光客も心を打たれるものだ。
大須 そこに名古屋の魅力の全てがある
次は大須。
名古屋の大須商店街に来る度に思う。
こんな街は日本中どこにも無いと。
東京に例えて言うならアメ横か。
東京に例えて言うなら秋葉原か。
だがアメ横はいつでもクソ混んでて歩き辛いし、それに冬は寒いし道は狭い。
秋葉原はかつての女子を寄せ付けない硬派な香りはもはや微塵もなく、ただのメイドカフェとオタクの街と化してしまった。
古き良き東京の街は今は東京には無い。この大須にこそある。
強いて言うなら、大須のこのカオスな雰囲気は大阪の京橋商店街と少しだけ似ている。
だが、あそこまで道が狭く、ゴチャゴチャしていない。
この大須商店街、普通に全て見て回るだけで2時間はかかる。
だがその2時間がちっとも長く感じない。
寧ろ、永遠にこの商店街が続けばいいのに、とさえ思う。
ここを歩く度に懐かしさと暖かさ、そして古き良き日本に出会える。
この街を歩くのが楽しみでいつも名古屋に来ると言っても過言ではない。
これだけ大規模なアーケード商店街にも拘らず、ほぼ全ての通りで歩行スペースが最大限に確保されているという点もまた素晴らしい。
家電、洋服、靴、オタクな店、名古屋名物、美味いもの、土産品、ブランド品
全てがこの大須で揃う。
他の街なんか行く必要あるの?
無いでしょ。
四間道・名古屋市場
次は四間道
知る人ぞ知る名古屋駅から徒歩10数分で行ける観光地、四間道。
四間道を知らない観光者は以外に多い。
だからこそいい。
この雰囲気にあまり大勢の人混みは似合わない。
決して川越や飛騨高山のような完璧な古民家通りではない。
だが、それがまたいい。
所々に小江戸の雰囲気あるお店が立ち並ぶ。
ここ四間道は個人的に名古屋に来たら一押しのエリア。
古民家通りだけでなく、この何とも言えない風流な町並みが心を打つ。
四間道から少し先へ行くと円頓寺商店街が見えてくる。
何とも庶民的な商店街。
こんなノスタルジー感を味わえる商店街はそう無い。
とにかくこの四間道周辺はまるで時間が止まったかのような感覚を味わえる。
癒されるとは、こういう場所の事。
四間道から名古屋駅方面へ徒歩10分程歩くと、名古屋中央卸売市場へ到着する。
時期が年末という事もあり、人、人、人。市場らしい活気に溢れていた。
いつもここで串かつを買って食いながら市場をブラブラするんだが、今回はこの行列のため断念。しかしこれはこれで活気があって良い。
名古屋に行ったらこの中央市場へ行く。もう、常識でしょう。
こんな規模の市場が名古屋駅から徒歩5分の場所にあるという事自体が信じられない。
独自の文化・モーニング
名古屋では朝、コーヒー一杯の値段で朝食が取れる。
こんな事はもう誰でも知ってる。
だが、それがふと休憩のために立ち寄った素敵なカフェでも当たり前のようにその文化が生きているのを見て、思わず感嘆の声が漏れる事もある。
これは四間道のSaRaカフェのモーニング。
厚切りの黒胡麻トーストと自家製ジャムに勿論コーヒーも付く。
これで400円とは!
ただただ驚愕でしかない。
もう、いちいち東京と比べるなという感じだが、東京じゃ絶対にこのクォリティと値段のモーニングなんて無理だろうね。
そりゃあ中にはトーストとゆで卵だけ、なんて店もあるけど、大事なのは名古屋という街全てでコーヒー一杯分の値段でモーニングが取れるというこの文化が浸透しているという事。
こんな街が他にあるのかな?
少なくとも私は知らない。
最強名古屋飯
味噌カツ、ひつまぶし、エビフライ、モーニングにきしめん、味噌煮込みうどん
こんなに日本人に愛される名物が多い街があろうか。
例えばこれが秋田県で言えば、秋田にも名古屋に負けない位、名物がある。
ただし、きりたんぽ、しょっつる、いぶりがっこ、ハタハタ寿司と、どれも子供が泣いて逃げ出しそうなものばかりだ。
そこへ行くと名古屋の名物はもう、完璧だ。
どれも子供が喜ぶものばかり。勿論大人だって喜ぶ。
関西のような気取った味付けもなく、北国出身の私の口にも文句無しに合う。
こんな街は名古屋以外に無いね。
上の写真は栄にある味処叶の味噌カツ丼(1200円)
トッピングでネギ(100円)を付けてこんな感じ。
カツは肉厚で柔らかく、味も申し分無い。ネギも味噌ダレによく合っていて申し分ない店なんだが、五人テーブル席での相席はさすがにキツい。
美味い味噌カツ丼を食うためと割り切れるのならこの店はベストかも。
人気店ならではのネックポイントだ。
また、味噌カツと言えば栄町ビルの地下1階にあったいし河が一番好きだったが、どうも店舗が縮小してしまったらしい。一昨年の暮れに行った時には既に無くなっていた。
隣に同じ名前の居酒屋っぽい店があり、そこで味噌カツは食べれたんだが、いかんせん酔っぱらいが多くて落ち着いて食えないし、第一狭すぎるので今後もう行く事は無いだろう。
非常に残念だが。
後、これは別に名古屋じゃなくてもいいんだが、名古屋へ行ったらついつい行きたくなるのがこの、宮本むなし。
関東で言うと、なか卯ややよい軒といった感じか。
一般的な定食が食べられるチェーン店。
この、お母さんの卵焼き定食(760円税込)のだし巻き卵がとにかく美味い。
チェーン店と侮らずに是非一度行ってみて欲しい。
最後に
たまに名古屋という街が恋しくなる。
日本第三位の都市と呼ばれながら、現在では人口で横浜市にも抜かれてしまった名古屋市。
だが、横浜でも名古屋でも暮らしてきた私から言わせれば、
横浜はまだまだ名古屋には到底及ばない。
とにかく、何から何までが個性的であり都会的であり、そして懐古的な街。
私は個人的に横浜のみなとみらいや東京のお台場みたいな、気取った街が大嫌いだ。
いい街とは、古さと新しさが融合したものでなくてはいけないと個人的に思う。
確かに名古屋駅前にはセントラルタワーズ、大名古屋ビルヂングができ、近代的になった。
だが、名古屋駅から伏見を通り、大須、そして栄へ向かうと、昔と何も変わらない、古き良き名古屋が目の前に飛び込んでくる。
残念ながら栄の中日ビルは解体が決まってしまった。
中日ビルの地下にあったうな文が好きだったんだけど、残ってくれるかな。難しいだろうな。
でもそうやって少しずつ変わっていく名古屋という街を見るのも、本当は大好きだ。
要約すると私は名古屋という街が大好きだ。
多分、日本のどの街よりも。
名古屋城に東山動物園、名古屋港に熱田神宮。
名古屋市街を少し離れれば観光名所は数多くあるが、私が言いたいのはそういう事じゃない。
名古屋駅から伏見駅、栄駅、そして大須観音。
この、徒歩1時間以内で行ける界隈の中に、名古屋の魅力が凝縮されているのだ。
最後に、名古屋ほど歩いていてワクワクする街を私は他に知らない。
これまでに日本中を旅してきた私が言っているんだから、少しは信用して貰いたい。
そしてもしあなたがそれでも名古屋がつまらない街だと言うのなら、
それはあなたが名古屋をきちんと歩いていないからだと言いたい。
名古屋駅を降りたら地下鉄には乗らずに、一度伏見を通って大須、栄まで歩いてみて欲しい。
そして、名駅や栄の地下街がどんな作りで、どんな場所に通じているのかを実際に見て感じて欲しい。
方向音痴だから迷いそう? 心配要らない。
名古屋は基本的に碁盤の目状に展開している。迷うことなどほぼ無い。
迷ったら久屋大通り公園を目指せばいい。
久屋大通公園が分からない? テレビ塔が見える方向がそれだ。
東京や大阪の劣化版? 冗談じゃない。
私は東京の街が好きで、年に東京に20回近く行く。
東京で満足できないから毎年名古屋へ行くのだ。
それだけ名古屋が東京には無い魅力があるからだ。
それだけ歩いていて楽しい街だからだ。
それだけは自信を持って言える。
名古屋イズナンバーワン!
この街の素晴らしさを知れば東京も大阪も霞んで見える。
そんな名古屋の魅力を分からない人が日本に多いのが何とも残念でならない。
追伸
最後に、もしあなたが四間道近くに車で行く機会があるのなら、名鉄協商那古野2丁目駐車場がおすすめ。
ここだと24時間でも最大1200円で止められる。
周辺は中央卸売市場もあるため、結構駐車料金が高い駐車場が多い。
もし冒険して四間道の中まで行けるのなら、もっと安い駐車場もある。
けど、一方通行の道が多いので、慣れていないのなら上の駐車場の方が入りやすいし安全と思う。