はこれを読んでくれているあなたが、日本のどこの、どの街に住んでいるのかを知りません。

しかし、きっとあなたも私と同じような事で頭を悩ませた事があると思います。

それは、こんな出来事です。

 

ある日、あなたの元に、とある昔の友人から十数年ぶりかに連絡が来ます。

 

「今度の週末に、そっちへ遊びに行こうと考えてるんだ。そこで一つ頼みがある。君の住む街を少しだけ案内して欲しいんだ。勿論、君の休日の予定を朝から晩まで邪魔するつもりはないよ。ほんのちょっとだけでいいんだ。君の地元のおすすめのお店なんかを紹介してくれないかな。久しぶりに昔の話なんかもしたいしね」

 

「ああ、勿論構わないさ。楽しみだね」

そこそこ社交的で、かつ気のいいあなたならきっとそう答えるでしょう。

でも、ぶっちゃけ私は思うのです。

 

おすすめのお店って一体何ですか?

 

私は上に挙げたようなシチュエーションに遭遇すると、その度に毎回同じ事を考えては苦悩するのです。

おすすめの店って一体何?

それは食べログの評価が高い、ひたすら味の評判のいい店の事を言っているのか。

それとも、カップル同士のディナーデイトよろしく、オシャレで雰囲気のいい店の事を言っているのか。

一度見たら忘れられない、記憶に残るインパクト抜群の店の事を言っているのか。

はたまた地元民でも知る人のみぞ知る、穴場中の穴場的な店の事を言っているのか。

それともそもそもそんな事じゃなくて、仙台なら牛タン、浜松ならぎょうざといった具合に、単にその街の名物が食いたいと言っているだけなのか。

その辺りがさっぱり分からずに、私は毎回途方に暮れるのです。

 

人付き合いで一番辛いのは、相手の意図が分からない時。

相手が望んでいるものがさっぱり分からない時。

 

「そんな大した店じゃなくていいよ。そんな事最初っから期待なんかしてないって」

 

多分その友人はそう言うでしょう。ですが、それは恐らく本心ではありません。

数十年も生きてきてれば誰もが理解する事ですが、

誰かに何かを期待しない人間なんて居ません。みんな人は相手に何かを期待しているのです。

そして人に期待しない人間が居ないように、人の期待に応えたいと思わない人間もまた、居ないのです。

 

しかし、生憎私は芸能人でもグルメリポーターでもないのです。

店主に顔が効く行き付けの店なんて持っていないし、それにそんなしょっちゅう色んな店で食べ歩いたりするわけでもありません。

そんなつまらない人間の私が、一体どうやって相手のそのキラキラした期待に答えられるのでしょうか。

 

 

前置きが長くなりました。

私が今日言いたいのはこういう事です。

あなたには、突然あなたの住む街に訪ねて来た、あなたの住む街の事を何も知らない友人をもてなすに値する、おすすめの店がありますか?

もし無いのなら、いい機会なので一緒に考えてみませんか?

 

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おすすめの店とは何ぞや?

「この街の事知らないので、今日はあなたのおすすめの店で」

と唐突に言われた時に、真っ先に考えなくてはいけない事は以下の4つでしょう。

 

1.予算

2.若干のインパクト

3.若干のご当地感

4.若干のプレミアム感

 

予算

ではまず、予算から考えていきましょう。

私が考える、おすすめの店の予算の上限は2000円です。3000円ではありません。

逆に2000円以上というのは有り得ないしょう。

相手は軽い気持ちであなたにおすすめの店を聞いてきているのです。もし本当に後悔したくない、確実でパーフェクトな店を望んでいるのなら、そもそも最初からあなたなんかに聞かずに自分で真剣に調べるはずですから。

 

このスマホが普及した情報化時代、いいお店を探す上でのあなたの意見など参考程度です。

 

それを忘れてはいけません。

なのにあなたが勝手に意気込んで2000円以上のお店に連れていったら、その人は一体どう思うでしょう。

「うわ、何かこの人頑張っちゃってる!そんなつもりでおすすめのお店に連れてってと言ったんじゃないのになぁ」

と若干引かれ、気まずい空気になる事はもはや明白です。

2000円という金額はその、相手に引かれるか引かれないかのギリギリのボーダーラインなのです。

そして私の経験上、飲食店で2000円以上出したら、その料理が例えすごく美味くても、寧ろ「こんだけ出してんだから美味いのは当然だろう」という気持ちが働いてしまい、味への満足感が薄れる事が多いのです。

人間が食事をして真に満足するのは、美味い+リーズナブルな時です。

 

このような事から2000円という金額は、あらゆる意味で人生を分かつボーダーラインと言えるでしょう。

 

若干のインパクト

次にインパクトについてです。

インパクトは相手の想像や期待を若干、やや上回る程度で問題ありません。

日本全国どこにでもあるチェーン店、つまりガストのような店でなければそれでOKです。

ガストが悪い店とか言ってるわけではありません。ただ今回のようなシチュエーションでガストは無いと言っているだけです。

ガストはとてもリーズナブルで席もゆったりしていてとてもいいレストランです。私も大好きです。

しかしもしあなたが友人に「おすすめの店へ連れてって」と言ってその友人にガストへ連れていかれたら、あなたはきっと「こいつはおすすめの店、ファミレスしか知らんのか」とその友人を憐れむか、或いは「ほう、俺ごときもてなすのにはガストで充分とな?」と軽くその友人に不信感を持つ事になるでしょう。

悪い事は言いません。ガストは止しましょう。ガストと言うかファミレスがダメです。

 

え?藍屋はどうなのかって? だから藍屋も華屋与兵衛も五右衛門も和食さとも全部ダメです。

そのファミレスがメジャーかマイナーか、ファミレスにしては味がいいとかそういう問題ではなく、ファミレスというチョイス自体止しましょうと言っているのです。

話しの流れで分かるでしょう、それ位!

 

若干のご当地感

↑写真は山形名物「玉こんにゃく」(イメージ画像)

 

次にご当地感。これも100パーセント拘る必要はありませんが、重要です。

例えばあなたがもし北海道根室市に住んでいる友人に十数年ぶりに会いに行き、「おすすめの店へ連れて行って」と言われてジンギスカンの店に連れて行かれたら、あなたはその友人の事をどう思うでしょうか。

「あれっ?」となりませんか?

そして根室市という、北海道最大の漁獲量を誇る港町でジンギスカンを食べる意味についてあなたはとうとう最後まで理解する事ができずに、ホテルに帰ってもまだ混乱が収まらないかも知れません。

勿論、そのジンギスカンのお店は実際超美味いのかも知れませんが、それは全く別の話です。

凡そ人には地域ごとに抱く固定概念というものがあります。

 

例えば大阪=お好み焼き、博多=明太子、新潟=酒、茨城=納豆 青森=りんごといった具合に。

 

だから茨城へ来てフランス料理がすごい美味い店があるとか言われても旅行者はピンと来ないわけです。

寧ろ、美味しいフランス料理を食べながらも、「なんで納豆食わせてくれないんだよ」という釈然としない気持ちもまた心のどこかにあるのです。だから旅行者は扱い辛い(失礼)のです。

 

その街の酸いも甘いも知り尽くした地元民であるあなたと、その街の事を何も知らない友人とでは価値観が違うのですから。

じゃあ訪問者である相手ともてなす側であるあなた、どっちの価値観に合わせるべきか。訪問者に決まってるでしょう!

 

もてなしの店選びの際は、例えベタでもご当地感は若干でも必ず盛り込むべし。

 

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若干のプレミアム感

最後にプレミアム感について。

安くて美味いお店というのは本当に貴重ですし、またありがたい事です。

わざわざ高い金を払わなくても世の中1000円以下で素晴らしく美味しい料理を食べられる店も最近はとても多くなりました。何とも有り難い事です。

しかしそのお店よりもう少しプレミアム感を出せるお店が他にあり、かつそのお店が2000以下で利用できるのなら、今回はそっちの店を選ぶべきです。

 

今回のシチュエーションをもう一度思い出してみてください。

相手はあなたの住む街へ来るのがほぼ初めてなのです。

自分の住む街で友人にいい思い出を作って欲しい、というもてなしの気持ちは大切です。

しかしやり過ぎはいけません。相手はあくまであなたの旧来の友人であって、別にあなたの恋人でも家族でも何でもないのですから。

 

それに下手をしたらあなたがその食事代を奢る可能性もあります。

相手はあなたの街へやってきたゲストで、あなたはそれをもてなすホスト。シチュエーションを考えればあなたが奢るのは寧ろ当然の事とも言えます。

そんな場合でももし2000円以下ならば、奢る方もダメージが少ないし、また奢られる側の方も「そんなつもりじゃなかったのに」という申し訳なさや負い目は最小限で済むのです。

散々私が口を酸っぱくして2000円以下と力説しているのはそういう事です。

決して私が貧乏だから言ってるんではない事、やっと分かって頂けたようですね。良かった。

 

まとめ

もう一度まとめると、

1.予算は2000円以下

2.ファミレスとは違うインパクト

3.相手の先入観や期待感を全て否定しない程度のご当地感

4.2000円以下でプレミア感は最大限に!

 

 

以上、遠方から来た相手をもてなすおすすめの店について書きましたが、如何だったでしょうか。

どうせ面倒臭がりでデリカシーの無いあなたの事だから、いつもそんなシチュエーションでは「ああ、めんどくさいなぁ、もう、ラーメンでいっか」とか、あるいは近くの行き付けの汚い(けど美味い)定食屋へ連れていくとか、あるいは変に気取って今まで行った事無いような高級な店に連れていって二人して呆然と立ち尽くして戸惑ったりと、相手のニーズなどお構いなしに実に適当に無計画に今までもてなしていた事でしょう。

でも、これでもう安心です。

あなたはこれからは突然の来訪者が来ても、連れていくおすすめの店に困ることなど無くなるのですから。

 

もうすぐ夏休みシーズンです。

あなたの住む街に遊びにくる知人、友人、親族。

今年は今まで以上に良いもてなしをしてあげてください。

決して自分本位にならず、かと言って相手に媚びず、的確に、そして自然に、気合を入れ過ぎずに、あなたのおすすめの店を案内してあげてください。

期待しています(一体誰向けの記事なのか自分でも書いててよく分からないが)

 

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