まれて初めて築地市場へ行った時のこと。

第一印象は、「何だかやけに余所者お断り感」の強い場所だなぁと。

 

まあ、行った時間もまずかった。

午後2時過ぎだった。

朝市どころかランチタイムすら終わってる時間に築地に行くなんて、今思えば何考えてるんだって感じだが、当時はそういうの全く分からない、常識すらあやふやで生きてる若者だったんだからしょうがない。

 

なもんで、殆どのお店はシャッターを降ろして閉店していた。

だけど、全部のお店が閉店していたわけじゃない。

中にはそんな中途半端な時間でもちゃんと空いていて、海鮮丼とか食べさせてくれるお店も数件あった。

そして、そんなお店の中を覗くと、結構人が入っていて、みんな黙々と刺し身だの海鮮丼を貪り食っていた。

もとより私も海鮮を食いにわざわざ築地まで来たので、その数少ない営業中の店の中の一件を適当に選び中に入り、海鮮丼を注文した。

ぶっちゃけ、味はぜんぜん覚えていない。

覚えているのは2000円前後という、まあまあそこそこの値段と、愛想の全く無い店主の態度だけ。

それ以来私の中で市場という場所は、何だか活気のない、ぶっきらぼうで、一見お断りで、お得感もさほどない場所として脳内に記憶される事となった。

 

「偏見だ」とあなたは言いたいんでしょう。

 

そう、偏見もあるかも知れない。

しかし私だって何もその、築地市場のたった1度の思い出だけを元にこんな主張をしているわけではない。

例えば東京に築地市場があるように、横浜にも横浜市場、そしてもう少し横須賀寄りの杉田方面に南部市場という市場がある。

しかし、どちらもどうにもこうにも市場デビューしたい私を突き放す。

 

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私が 市場=閉鎖的と思う瞬間

それは、こんな看板のせい。これは南部市場の門の前の写真。

この、市場関係者以外立ち入り禁止の文字。

この看板の意味が分からん。

だってさ、横浜市場もこの南部市場も、中に食堂があって海鮮とか穴子とかが美味しいって食べログにも普通に出てんのよ?

なのに実際に行くとこれ。

もう意味分かんないよね。

しかも監視カメラで監視中とか書いてんの。もう、これだけで私みたいな気の弱い根性なしのヘタレは恐れおののいて退散してしまう。

ちなみに今日は土曜日。水産土曜市の旗も風になびきまくってる。

しかも監視カメラ作動中とか書いてる割には守衛もおらず、しかも人や明らかに一般の車も普通に門から出入りしている。

「これ、普通に行けるんじゃ…?」

急に強気になる。

そう、遂に私の中でずっとわだかまっていた市場への疎外感、一見さんお断り的な常連優遇社会という偏見を、とうとう打ち破る日がやってきたのだ。

「いやぁ、今日、市場で昼飯食っちゃってさ」

みたいな玄人地元民みたいに振る舞える日がいよいよ私にも来るのか?

ではいざ、出陣。

 

市場デビュー

中に入るとこんな感じ。

もう、いかにも市場。市場というか、工場というか、なんかそんなノリ。

でもちょっと歩くと、こんな場所が。

しかも何か、野菜も魚も漬物やスナック菓子類も、どれも相当安い。

横浜にはOKストア、業務スーパー、肉のハナマサ、ドン・キホーテといった激安店があるが、ぶっちゃけこの南部市場の土曜市の価格は、そのどの店にも全く負けてない。これはすごい事。

ちょっと興奮して数十分もウロウロしてしまった。

だが、今日の目的を忘れてはいけない。

そう、今日は市場に昼飯を食いに来たのだ。

市場ランチデビューが真の目的なのである。

 

市場メシ、デビュー

というわけで気を取り直して食堂を探す。

Googleマップ上で検索すると、表示される食堂は全部で3つ。

南部食堂、横濱屋本舗食堂、がってん食堂の3つである。

まず、横濱屋本舗食堂は市場入口を入ってすぐ右へ曲がってまっすぐいった先にある。

とても綺麗な店で、メニューは特選海鮮丼や刺身定食、穴子天丼など、やはりと言うか当然と言うか海鮮系がメイン。

どのメニューも価格はだいたい1500円前後くらいが目安かな。毎週変動するのかは正直、分からない。

中はお客さんで一杯で、きっと美味いんだろうなとは思ったが、何と言うか自分が求めている市場メシとは違う気がして、今回はパス。

 

次に南部食堂。入り口過ぎてまっすぐ歩いていった場所にある。

土曜市がやってる場所と同じ棟にあるせいか、ここはやたら客の入りが多い。

ここは天丼だの穴子丼だのマグロ定食だのカレーだの、何でもアリの大衆食堂といった感じ。

価格帯は概ね800円前後。活気のある市場の食堂という雰囲気が好きな人ならおすすめかも。

ただ、私はどっちかって言うと飯は落ち着いて静かに食べたい派なので、今回ここもパス。

 

最後に、がってん食堂

何でここだけいっぱい写真があるかって言うと、ここで飯を食ったから。そりゃそうだ。

個人的にこういう店、ほんと大好き。

しかも、場所が土曜市の開かれてる棟からけっこう離れた場所にあるため、客の入りもそこそこ。

まあ、そこそこつってもやっぱり人気あるんだろう。それなりに客はやってくる。

メニューはこんな感じ。

一見すると「市場の食堂だよね?」と突っ込みたくなる所だが、下にちゃんとマグロ丼ラーメンセットなんていう市場ならではのメニューもある。

で、注文したマグロ丼ラーメンセットがこんな感じ。

何の変哲も無さそうな普通のラーメンと普通の浸けマグロ丼に見えるでしょう。

しかし、これがどっちもめっちゃくちゃ美味い。

特にラーメンが美味い。

何で市場の食堂でこんな美味いラーメンが食えるのかが、全くの謎。しかも安いっていうね。

いやぁ、すごいね。市場の食堂って。

 

ただ、難点は接客。

いかにも市場にありがちな、なあなあで済まそうとする接客は大いに反省の余地有り。

厳しい事を言うようだが、私は個人的に味より接客を重視する。

カネを取って商売してんだから、最低限の愛想と、待っている客への気配りはあって然るべきだろう。

 

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まとめ

子供の頃、東北のとある港町に住んでいた。

駅前には魚市場があり、たまに親に連れられて市場の中を歩いた。

歩いていると魚や魚介、それに強烈な磯の匂いが鼻についた。

だが、不思議とその匂いは嫌いじゃなかった。

人の往来が激しく、市場関係者や買い物客らで入り乱れるその市場はいつ行っても活気で溢れていた。

 

そこは紛れもなく昔、親の手に引かれながら見た”昭和の市場”であった。

ショッピングモールでも激安スーパーでもない、紛れもない市場であった。

やはり市場は素晴らしい。

そして、市場で食べる飯は尚素晴らしい。

 

最後に、敢えての苦言

冒頭にも書いたが、どうも市場という場所は市営バスと同じで、利用方法が分かり辛い。

私なんか今回の南部市場の前なんか仕事も含めて何十回も通ってるが、ここが普通に入れる場所だったという事は今回まで全く知らなかった。

てっきり業者が利用する卸売市場なんだろう、と。

中の食堂もたまたま土曜だから利用できたのか、はたまた毎日昼行けば食えるのか、その辺が食べログとかネットを見て調べてもイマイチ分からない。

しかも入り口には「関係者以外立ち入り禁止」看板。これは横浜市場も全く同様だ。

 

こういう所ってもう少しなんとかならないものだろうか。

 

別に分かりやすくしようとしまいと、儲かってんならそれでいいんだろうけど。

ただ、せっかくこんな美味しいものが食べられるのに、私と同じように表の看板や「一言さんお断り」的な市場独特の雰囲気に飲まれて、未だに市場で飯を食えていない人達が少なからずいる事を思うと、残念でならない。

まだ市場メシデビューしてない人は、是非これを機に!

 

因みに、南部市場へ行くなら、JR新杉田駅から歩きましょう。

シーサイドラインなんか使う距離じゃない。運賃が勿体無い。

丁度いい具合に首都高の高架線の下をずっと歩いていけるので、日中でも雨や強い日差しを避けつつ目的地まで行ける。

シーサイドラインで新杉田駅から南部市場駅まで、片道230円。往復だと460円。

南部市場のがってん食堂のラーメンは500円。

 

レッツ、ウォーキング!

 

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