の昔、カレーパンは人々の憧れだった。

子供も大人も大好きなカレーを、コロッケやカツレツのようにこんがり油でキツネ色に揚げたその不思議な食べ物は、戦後決して豊かではなかった多くの日本人を幸せにしてくれた。

揚げたて、サクサクのカレーパンをひと口頬張る。

サクッという音とともに中からホクホクのカレーの香りが漂い、鼻腔内を一気に満たす。

瞬く間にカレースパイスが身体中の五感に広がる。

 

皆様ご承知のように、カレーパンは「揚げる」

なぜ揚げるのか。

成程、カレーがパン生地に染みてこないようにするため、カレーの風味を損なわないため、冷めてもおいしく食べられるようにするため…

どれも実にもっともらしい(失礼)意見だ。

だが、そのカレーパン=揚げる という安易な考え方が、カレーパンという食べ物を実にありきたりな、どこでも味わえるチープな食べ物にしてしまってるんじゃないの?

と私は考える。

そう言えばよくTVで、カレーの上にチーズをのせてバーナーで焼く、みたいなメニューを出してる店が紹介されるが、

私に言わせれば、チーズを乗せてバーナーで焼くという、その行為だけで味がもう大体想像できてしまう。

そして、

「ああ、チーズ乗っけて焼いたら美味いよね。うん、分かる」

と、どこか冷笑的な目で見てしまう。

 

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イル・デ・パンのカレーパン

横浜市磯子区にある、イル・デ・パンというカレーパンが美味いらしい。

何かTVでも何度か見た。

何でも、パン・オブ・ザ・イヤー2016のカレーパン部門で金賞を取ったんだとか。

何だその、カー・オブ・ザ・イヤーのパクリみたいな賞は!

と言いたくなる所だが、まあ実際にあるんだから仕方ない。

どうりでTVでも取り上げるわけね。

しかし、そんなに美味いのかね。

どうせ揚げてる、普通のカレーパンでしょ?

という、偏屈な、どこか批判しないと気が済まない的な私の性根がウズウズしてくる。

じゃあ食べてみましょう。

というわけで買ってきましたよ。イル・デ・パンのカレーパン。

なんか袋詰めの仕方がオシャレだね。

まあ、揚げたてだったってのもあるんだろうけど。

こういう気遣いはなかなか良いね。

これが気の利かないパン屋だと、揚げたてだろうが冷めていようがもう、適当にビニール袋に放り込んでくるからね。

で、これがそのカレーパン(216円)

成程、TVで見た通り、丸い。なぜ丸いのかは何か店主がTVで説明してたが、忘れた。

しかも丸いだけじゃなく、デカい。食べ辛い。

というわけで、斬ってみた。

すると中からゴロッとしたチキンが顔を出す。

ああ、これをやりたくて丸くしたって言ってたんだ。確か。

で、味の感想なんだけど、

美味いね。勿論揚げたてのせいもあるだろうけど。

あと感じたのが、パン生地部分がやけに薄いね。

まるでカレーコロッケだ。

そのせいか、食べると、ザクッ、ザクッっていう歯ごたえが凄い。

これははっきり言って、食欲をより掻き立てる。

一方で、カレーの香りはそんなにしない。

まあ別にスパイスのブレンドに拘れとか言うつもりはないけどね。

 

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試しにパン生地部分を他のカレーパンと比較してみる。

まずこれが一般的なスーパとかで袋売りされてるカレーパン。

パン生地がしっかりしてるよね。まあこれはこれで美味い。

 

次にパンの名店、モンタボーのカレーパン。

ほら、厚い。

パン生地がしっかり厚いのが一般的なカレーパンという事だね。

それに比べるとイル・デ・パンのカレーパンのパン生地部分は薄い。

あまりに薄すぎて、こういう事をしてみてもそれなりに様になる。

というか、これはこれでしっかりご飯のおかずになって、美味かった。

むしろこうやって食った方が美味かった。

カレーコロッケだね。もう。

 

結論

カレーパンに限らず、B級グルメっていうのは、庶民をどれくらいワクワクさせたか、だと思うんだよね。個人的に。

最近、やけにあっさりした、上品なラーメン出す店が増えたけど、上品なラーメンってそもそも意味が分からない。

それだけダシにこだわろうと、麺にこだわろうと、ラーメンはB級グルメでしょう。

B級グルメはワクワクしながら、興奮して食うもんでしょう。

だから、ニンニクバリバリ入れて、食欲中枢を極限まで高めて食うんでしょう。

カレーパンも一緒だと思うよ。

興奮して食う、B級グルメ。

そういう意味で、イル・デ・パンのこのカレーパンは、ザクザクっていうかじった時の音といい、中から出てくるデカいチキンのインパクトといい、十分興奮の要素は満たしてるんじゃないの?と思う。

 

場所

最後に、イル・デ・パンの場所について。

イル・デ・パンは笹下釜利谷道路、通称、笹釜沿いにあるんだけど、知らない人にとっては笹釜と言われても何のことやらだ。

最寄り駅はJR根岸線、洋光台駅なんだけど、ぶっちゃけ駅を降りてもどこをどう行けばイル・デ・パンに行けるのか、さっぱり分からん。

そこで、親切な私が今回、誰でもJR洋光台駅から徒歩でイル・デ・パンへ辿り着ける最短ルートをここに紹介しようと思う。

ちなみに所要時間は20分。

「20分も歩けなーい」なんていうセレブな方はこの記事は何の参考にもならない。

素直にバスでもタクシーでも使って欲しい。

まず、JR洋光台駅の改札を出たら、180度ターンしよう。

するとこういう、小汚いちょっと乱雑なチャリ置き場がある。

それに構わず進んでいくと、真ん中に線路、両端にそれぞれ歩道という道に出る。

↑の写真は駅から180度ターンして左側。

ちなみにこれが駅からターンして右側の写真。

まあ要するに、改札出たら180度ターンして、線路沿いの道の左側をまっすく歩けばいいという事。

↑こんな感じで、右手に線路を見ながらまっすぐ歩く。

↑そうすると、こういう交差点に出るので、そのまま信号を渡り、また真っ直ぐ歩く。

↑少し下りになる。でもまだ真っ直ぐ。

↑はい、この標識が見えたら左に曲がる。

↑暫くまた真っ直ぐ。

↑暫く歩くとこの標識が見えるので、ここで左折。

後はずっと真っ直ぐ。

突き当りがT字路になってる。手前に見えている道路があの笹釜街道。

ここを、右に曲がる。

すると、さあ見えてきました。ここがイル・デ・パン。

お疲れ様でした。

まあ、1日7時間歩く自分からしたら屁みたいな距離だけど、普段歩かない人にとっては結構なお散歩かもね。

ちなみに、駐車場は道路を挟んだ向かいにある。

ちょい使い勝手は悪いけど、無いよりはぜんぜんマシだよね。無料だし。これで文句言っちゃバチ当たる。

ちなみにこの辺は警察がよく通るらしいんで、路駐はやめた方がいいんじゃないかなと。

 

まだイル・デ・パンのカレーパン未体験の方は、話のタネに是非一度。

ちなみに午後行っても売れ切れになってる事が多いらしいので、行くなら午前中がいいかと。

 

イル・デ・パン
〒235-0035 神奈川県横浜市磯子区田中2丁目25−6
定休日:月、火(火曜日は隔週休みらしいので注意)
営業時間:AM8:00~18:00(但しパンが売れきれたら即閉店らしい)

 

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